退屈だけが愛を殺す

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書き出しだけ体操? 何ソレ美味しいの?

 日曜日、どこにも出かけようともせず、昨夜からダラダラとワタシん家のワタシのベッドでウダウダしてるアヤツが、傍らの机でせっせと鉛筆を削っているワタシに、のたまった。

 体操じゃなくて、大賞。メッチャンコイカした小説の大層な書き出しだけピコーンっと思いつくだけで、なんと賞金20万なるぞ!

 そりゃ、美味しいや。

 アヤツはハナホジしかねない顔で欠伸連発。アーア。昔はこんなボンクラじゃなかったんだけどなぁ~。
 ワタシはノートに、「彼。退屈。ハナホジ」と書いて、ハナホジをぐしゃぐしゃ消した後、目玉を二つつけて毛虫にして、ウインクなんかさせてみる。

 人って変わっちゃうんだよね。
 グレゴール・ザムザみたいなこと言うなよ。

 昔のアヤツだ!

 だけどだけど、ベッドの上のアヤツは、ウインク毛虫になっていたのだ。ワタシは尖った鉛筆を握りなおした。
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公開:19/06/15 09:19
更新:19/06/15 09:21
書き出しだけ大賞

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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