たくらだ・ファミリア

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宝田君ちは、便利屋だ。
家の掃除、買い物、犬の散歩。電話一本で駆け付けて、仕事を代わりにやってくれる。
『たくらだ屋』が、宝田君ちの店の名前だ。名字の宝田と、『たくらだ猫の隣歩き』って言葉の合体らしい。自分ちのネズミは獲らずに、他の家のネズミを捕る猫。平たく言うと、間抜けとか、馬鹿って意味。それで、みんな宝田君を『たくらだ君』て呼んでた。
日直や、苦手な給食や、宿題や、何を頼んでも、宝田君は笑って引き受けた。ぼさぼさ頭で、鼻の頭にホコリ乗っけて、ゴミ箱と黒板消しと、クラス分の連絡帳抱えて。猫じゃなくて、チュージツなネズミだって笑われてた。

「みんなにこき使われて、悔しくないの?」
ランドセルを四つ背負ってる宝田君に訊いた。
「父さんが、使われるウチは宝だって」
宝田君は笑って、元気に走ってった。


今、宝田君ちは外国にいる。
有名な教会を建てる手伝いをしていて、あと何年かで完成らしい。
ミステリー・推理
公開:19/06/14 21:40
たくらだ猫の隣歩き サグラダ・ファミリア 2026年完成予定。 主任彫刻家は日本人だそうです。

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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