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朝起きて階下へ行くと、食卓を挟んで父が二人座っていて、どちらが昨夜まで母だったのかについて口論をしていた。
「何がどうなってるの!?」
と叫ぶ私を見て、二人の父も叫んだ。
「「わ、私!」」
「へ? 私がお母さんになってるだなんてそんなアホな、ってホンマや!」
そのとき私は、私の記憶と母の記憶を両方とも持っていることに気づいた。ということは…
「お父さんは嘘をついていますね」
母の私は二人の父に詰め寄った。
「今朝、二人が言い争ううちに、お父さんはお母さんに秘密を知られたことを知ってしまったのね。自分が父だと認めてしまうとその件で殺されると思って、お父さんは、自分がお母さんだって言い張ってるのね。でも、私たちはそのことでお父さんを殺したりしないよ。私たちが保証する」
「リサコ、マサコ…」
片方の父が頭を垂れた。
「すまなかった」
以来、私たち二人は夫婦水入らずで過ごしている。
「何がどうなってるの!?」
と叫ぶ私を見て、二人の父も叫んだ。
「「わ、私!」」
「へ? 私がお母さんになってるだなんてそんなアホな、ってホンマや!」
そのとき私は、私の記憶と母の記憶を両方とも持っていることに気づいた。ということは…
「お父さんは嘘をついていますね」
母の私は二人の父に詰め寄った。
「今朝、二人が言い争ううちに、お父さんはお母さんに秘密を知られたことを知ってしまったのね。自分が父だと認めてしまうとその件で殺されると思って、お父さんは、自分がお母さんだって言い張ってるのね。でも、私たちはそのことでお父さんを殺したりしないよ。私たちが保証する」
「リサコ、マサコ…」
片方の父が頭を垂れた。
「すまなかった」
以来、私たち二人は夫婦水入らずで過ごしている。
ホラー
公開:19/06/15 15:50
書き出しだけ大賞
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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