RED PERCOLATION #45

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満員電車から降りるとき、前の男性に強くぶつかってしまった。
チッという舌打ちと共にこちらを振り返る男性。
すみません、すみません…。ペコペコ謝り、そそくさとその場を離れる。
正直、こんな気弱な自分、僕は大嫌いだった。自信なんてどうやって付けたら良いのか、ずっと分からずにいる。


満員電車から降りるとき、後ろの奴がぶつかってきた。
ふざけやがって、と思って振り向く。だが、振り向いた先、すみませんすみませんと頭を下げる弱そうな男。
本当は、この電車を降りた後、懐のナイフを取り出して暴れまわってやろうかと思っていたのだが。
その弱そうな姿を見て、何だか、妙に怒りが冷めた。
別に今日じゃなくも良いか、懐に手を入れるのは止めた。


貴方の思っている姿とは異なるかもしれないが、貴方の行動は、時に自らの意識を超えて、周囲を世界を、守っていることがある。
今宵、全ての勇者に、乾杯。

【ヒーロー】
その他
公開:19/06/15 11:21

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