猫神様

うん、この赤ちゃん猫がミーだよ。昨日帰ってきたの。
生まれた日にいなくなって、それから三日も行方不明。これはきっと神隠しだと思って、急いで社に行ったんだ。七つまでは神のうちって言うでしょ、でも猫の場合は寿命や成長からして、七日までじゃないかと思うんだ。
で、社に着くと濡れ縁に白いデブ猫がデンと座ってた。なんかふてぶてしい感じでね、よく見ると首輪の鈴に紐が吊り下がってたの。引っ張ると鈴が、社の鈴と同じ様にガラガラと鳴った。紐は鈴緖だったんだ。
(これは猫の神様かな？頼めばミーを帰してくれるかも)
私はもう一回首輪の鈴を鳴らして、参拝のやり方で猫神様にお願いをしたんだ。ちゃんと御賽銭を置いてね。
すると猫神様の姿は消えて、家に帰るとこうしてミーが寝てたわけ。
でも実は作法通りの参拝じゃなく、音をたてずにやったんだ。神様を誑かすことになるからね。
だって拍手をしたら猫騙しになってたから。