レッツお掃除

「いい加減、この部屋掃除しようか」
支離滅裂な私の部屋に、親友は突然現れた。
「どうしてここに？」
「親切心」
積まれた大量の物を押しわけて、二人で床に座った。
「うわ、懐かしい！これいつの？」
「あんたが初めて東京行った時のお土産」
「食いもんじゃん。食えよ」
「記念に取っておけって言われたから」
「そうだっけ？」
二人でハマったアニメのグッズ。一緒に行ったコンサートの半券。親友からもらって、今は使ってない卓上テーブル。
「思い出があると捨てづらいんだ」
「分かるけど、前に向かわないと。それはとっておくの？」
「うん。ゲーセンでとってくれたやつだから」
やがて分別が終わり、スッキリとした部屋を見回す私に親友が言った。
「ありがとう」
部屋に親友はいなかった。そりゃそうだ。親友はもう亡くなっている。
「……こちらこそ、ありがとう」
一緒に振り返ってくれてありがとう。君をずっと忘れないよ。