ネコカー

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ある研究機関は、バイオテクノロジーを駆使し、猫の毛の静電気を動電気に変換することに成功した。
これに真っ先に目を付けたのが自動車業界だ。猫の毛で動く電気自動車を究極のエコカーと位置づけ、ネコカーとして売り出した。
ネコカーは、自動車愛好家やエコロジストだけでなく、ネコファンにも大好評となった。シャムネコカーや三毛猫カーなど、多種多様な車種が販売された。
最近では、電気自動車の自動運転が進み、ネコカーにも技術革新が起こった。猫の髭でカーナビゲーションさせて自動運転する仕組みだ。
ただ、これには課題があり、猫は狭い所が好きな習性があるため、カーナビゲーションが目的地まで通行しやすい広い道ではなく、道幅が狭い路地ばかり推奨してしまうのだ。その結果、ネコカーが道を通れないというトラブルが頻発し、あえなくリコールとなった。
自動車各社は現在、改善すべく一人ずつ座れる細長いネコカーを競って開発中だ。
SF
公開:19/06/13 10:36
更新:19/06/24 00:35
電気自動車、バイオテクノロジー

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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