ウミネコ

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まだ幼かった子猫。気づいたときには浜辺にいた。
天涯孤独になるはずだったけれど、その子猫は、海を母親と思い込んでいた。
そう、「母なる海」といわれるとおり。
子猫は、常に海に寄り添い、浜辺で生きた。幸いにも海が子猫の餌となる小魚を提供した。
子猫は、もっともっと海に近づきたいと思った。
その願望からか、子猫の成長とともに体に異変が生じた。初めに一対の小さな羽が生えて、次に口が嘴のような形になった。
ついに、その日がやってきた。子猫は、ウミネコとなり、天高く海に向かい旅立った。
その他
公開:19/06/14 10:21
猫、ウミネコ、海、浜辺、母

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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