おにぎり、踊る。

ある日、お爺さんがおにぎりを落としました。
おにぎりはコロコロ転がり、近くにあった穴に吸い込まれたのです。
お爺さんが「勿体ねぇ」と穴を覗くと、おにぎりが踊っているのが見えました。

おかかっ♪　おかかっ♪

おにぎりは鉄板の上で揺れる鰹節のようなダンスを始めました。
「こりゃ面白い！」と、お爺さんはもう一つおにぎりを穴に放り込みました。

うめーっ♪　うめーっ♪

おにぎりは体をブルッと震わせるようなダンスを始めました。
「酸っぱそうな動きじゃな！」
すっかり楽しくなったお爺さんは、残り一つのおにぎりも穴に放り込みました。

シャケナベイベーッ！！

おにぎりは頭をフリフリさせ、激しいダンスを始めました。
興奮したお爺さんは、自身も穴の中へ入ろうとしました。
しかし胸元で穴につっかえてしまったのです。
足をバタつかせるお爺さんを「新しいダンスだ！」と、おにぎりたちは喜んで見ていたそうな。