人影の手
8
13
目を開けると、僕はだだっ広い原っぱに立っていた。
胸にはゼッケンのようなものがついていて、僕のは「2842」と記されている。辺りを見渡すと、たくさんの人が僕と同じ格好をしていた。
そのうち、遠くの方から数十人の人影が追いかけてくるのが見えた。
姿はよく見えなかったけれど、恐怖だけははっきりとわかった。捕まっちゃいけない。その思いだけで、僕は周りの人と同じように必死になって逃げた。
けれど僕の手足は全然うまく動かず、何人もの人が僕を抜き去っていった。
僕はどんどん遅れをとって、ついにはその人影のひとつに追いつかれた。もうダメだ。タッチされると同時、ふっと意識が遠のいた。
「マサト……!」
聞き慣れた声に起こされて目を開けると、涙をいっぱいに溜めたお母さんが、僕を見ていた。
「あなた、事故に遭ってもう三日も眠っていたのよ」
お母さんの手は、最後にタッチされた人影の手に、よく似ていた。
胸にはゼッケンのようなものがついていて、僕のは「2842」と記されている。辺りを見渡すと、たくさんの人が僕と同じ格好をしていた。
そのうち、遠くの方から数十人の人影が追いかけてくるのが見えた。
姿はよく見えなかったけれど、恐怖だけははっきりとわかった。捕まっちゃいけない。その思いだけで、僕は周りの人と同じように必死になって逃げた。
けれど僕の手足は全然うまく動かず、何人もの人が僕を抜き去っていった。
僕はどんどん遅れをとって、ついにはその人影のひとつに追いつかれた。もうダメだ。タッチされると同時、ふっと意識が遠のいた。
「マサト……!」
聞き慣れた声に起こされて目を開けると、涙をいっぱいに溜めたお母さんが、僕を見ていた。
「あなた、事故に遭ってもう三日も眠っていたのよ」
お母さんの手は、最後にタッチされた人影の手に、よく似ていた。
その他
公開:19/06/13 23:18
スクー
蘇る鬼ごっこ
高野ユタというものでもあります。
幻想あたたか系、シュール系を書くのが好きです。
ログインするとコメントを投稿できます