そこにある空間

2
5

駅のホームにはしゃいだ子供のような笑顔を見せる若い男が映った看板。
そこに、笑顔を作ろうと添えられたキャッチコピーがあった。
「何が笑顔だ、馬鹿にするな」
と言ってやりたくなるほど、青臭いセリフのように思えた。
職場までは遠い。
都会の中の高層ビル。
エレベーターに一人乗り込んだ。
さっきの事を思いだし、人生で一番笑った日を思い返した。
30階を過ぎた頃、階を示す表示が消えた。
それと同時に、上がる勢いが増した。
ボタンを強く何回も連打すると、
表示は「?」を示し、急停止した。
扉は開く。
出ると、バーだろうか。
薄暗いお店でカウンターがあり、
椅子に座って笑っている男がいる。
初老の黒の帽子を被った男は
こちらに気づくと微笑んで
「まあ、一杯飲みな」
と勧めてきた。
そばにいる薄髭の男性も
「どうぞ」
と言って席を勧めた。
そして私の名前を呼んだ時、
帽子の男は
「ハハハ」
と笑った。
その他
公開:19/06/11 11:09

小脇 進( 埼玉県 )

小脇 進と申します。
まだ小説も、ショートショートも書くのは初心者です。
※最近は詩作を中心に活動しています。

「分かってないなあコイツ」
と思っても、温かく見守っていて下さい。
よろしくお願いします。
                                                                               
2019年5月19日(日)17時55分頃より始めました。
以上です。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容