虹色のペン

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部下が『どこでも虹が見れるようになるペン』を開発したと言うので、試しに夏の青空に虹を描いた。我ながら美しい弧を描く立派な虹が描けた。その虹は夜になっても消えず、ずっとずっと空を彩っていた。

気がつけば、いつどこで何を見ていても、室内にいる時でさえも、私の視界には虹があったのだ。

虹に視界を遮られ、部下を探すのさえも一苦労だ。
「これは瞳に虹を描き込むペンなんですよ」
部下は自分の瞳からにゅるんとコンタクトレンズを外してみせた。確かにそこに虹が描かれていた。

「洗えば落ちるよな?」
「油性ですから泣いても大丈夫です。」
「じゃあ、そのコンタクトレンズはどうするんだ?」
「これ使い捨てのコンタクトレンズなんで」

私の視力は2.0だ。
ファンタジー
公開:19/06/13 00:30
更新:19/06/17 21:09

喜衒 智也( enjoy )

日々のちょっとしたことから生まれたネタをショートショートに書き起こして楽しむ。

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