水たまりに映る世界だけが、平和だった。

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 水たまりに映る世界だけが、平和だった。
 戦闘機もミサイルも、戦火に焼け爛れた赤い空も、その水たまりには映らなかった。
「綺麗な青空。でも覗き込むと、私は空を隠してしまう」
 背伸びをしたり寝そべったり。難民キャンプの子供たちはその周囲で、しばし戦禍を忘れることができた。
「窓の見方を教えてあげる」
 顔を上げると、知らない人が立っていた。
「地球は小さな筏だ。ただ私たちはその乗り方を間違っていた。だから窓を塞いでしまう。私たちは大きな筏だ。ただ私たちはその乗り方を間違っていた。だから窓を塞いでしまう」
 その人の話は難民の間に広がっていった。
 数十万の難民が仰向けに寝転んだ。すると空が少し青く見えた。パイロット達は、その目の恐れた。
「俺は見下ろされていた。海だった。真っ青な静かな海…」
 仰向けに寝て空を見る。いつか全人類がそうしたとき、地球は、真っ青な、静かな空となって消えた。
ファンタジー
公開:19/06/12 09:40
更新:19/06/18 16:22
むうさんのお題 書き出しだけ大賞

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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