ノラ猫

「しもしも、今夜、座銀でシースーなんてどう？
・・えっ、急にフカヒレラーメンを食べたくなったから自家用ジェットで香港に行くの。バブリー。・・・うん、うん、それじゃ、またね」

「しもしも、今夜、ディスコに行かない。久しぶりにマハラジャのお立ち台、どっちが先にてっぺん取れるか勝負しましょうよ。・・・えっ、竹やぶで三億円拾ったの。警察に事情を説明しているからいけないって。それじゃ、しょうがないわね。またね」

「しもしも、私よ、私。・・・えっ、オレオレ詐欺じゃないわよ。平社員のノラ。・・・そう、同期の。・・そうそう。・・・別に貸したお金の催促じゃ無いわよ。急にあなたの声が聞きたくなっただけ・・・馬鹿っ、そんなんじゃないわよ。・・・どうしても言わなきゃ駄目。・・・もう、しょうがないわね。一度だけよ・・・アイシテル。もう、恥ずかしいじゃないの」

「はい、ノラです。・・父さん？えっ、会社が倒産」