水無月に雪花菜
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うちで雪が降るから、見に来いよと彼が言った。
六月に雪なんて嘘でしょ。口実だと思ったけど、逆に言い訳を聞いてみたくなった。
快晴の日曜正午。摂氏27℃。降水確率0%。
「晴れちゃったね」
予報を見て選んだ。雲一つない空。風速3m。
さぁ、どう出る?
「いや、今降ってる」
雨傘を差し掛けられ、困惑。
「足元注意。砂利あるから」
晴天の昼間に相合傘。ヒールの足元を確かめ確かめ、玄関から庭へ。
「ほら。猛吹雪」
音がする程の白だった。
後から後から降りしきる。抱えきれない程の枝に、鈴生りの雪。
「卯の花。こいつが咲くから、旧暦の四月は卯月らしいぜ。六月に四月の花。面白いだろ?」
「……花吹雪は、反則」
せめてもの抵抗。綺麗すぎて泣きそう。
「きらずって知らない?雪に花に菜っぱ」
「知らない」
「卯の花の別名。昼のおかず」
「この花、食べれるの!?」
完璧にからかった顔で、いい子いい子された。
六月に雪なんて嘘でしょ。口実だと思ったけど、逆に言い訳を聞いてみたくなった。
快晴の日曜正午。摂氏27℃。降水確率0%。
「晴れちゃったね」
予報を見て選んだ。雲一つない空。風速3m。
さぁ、どう出る?
「いや、今降ってる」
雨傘を差し掛けられ、困惑。
「足元注意。砂利あるから」
晴天の昼間に相合傘。ヒールの足元を確かめ確かめ、玄関から庭へ。
「ほら。猛吹雪」
音がする程の白だった。
後から後から降りしきる。抱えきれない程の枝に、鈴生りの雪。
「卯の花。こいつが咲くから、旧暦の四月は卯月らしいぜ。六月に四月の花。面白いだろ?」
「……花吹雪は、反則」
せめてもの抵抗。綺麗すぎて泣きそう。
「きらずって知らない?雪に花に菜っぱ」
「知らない」
「卯の花の別名。昼のおかず」
「この花、食べれるの!?」
完璧にからかった顔で、いい子いい子された。
ミステリー・推理
公開:19/06/09 21:11
卯の花(ウツギ)と
雪花菜(きらず)
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO
ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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