ダンスに夢中で

母は、私が高校生になってもキャラ弁を作りたがる。さすがにそれは恥ずかしいので断っているが、ご飯はかならずおにぎりだ。それに海苔や玉子焼きや菜っ葉で模様をつける。
ある日の午前中。カバンの中で何かがゴトゴト鳴っている。のぞいてみると、お弁当箱の蓋がパカパカと動いている。そうっと蓋を開けると、なんとおにぎりの周りで海苔や玉子焼きや菜っ葉がダンスをしている。
ステップを踏んではおにぎりの上に戻り、またステップを踏んではおにぎりの上に戻る。そんなことを繰り返していた。

お昼になって、お弁当箱を開ける。今日のおにぎりはピカチューだ。まるでさっきのダンスが無かったかのように、かわいいピカチュー。
ピカチュー？まてよ。今朝台所で見たときはチューリップに親指姫だったような。さては踊りすぎて、戻る場所を間違えたな。

あ、それでか。この前母に「今日の金太郎かわいかったよ」って言ったら微妙な顔をされたのは。