夜の病院

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深夜0時、私は懐中電灯を持ち薄暗い廊下を歩く。
ここは幽霊が出ると噂の病院。だがあくまでも噂だ。私は一度も幽霊やおばけを見たことがない。
この病院で働き始めた頃は噂に踊らされ、夜の見回りが怖くて仕方がなかった。
しかし慣れてしまえばなんてことはない。
患者さんや病室に異常はないか?トイレで倒れている人はいないか?
それだけを心配し、見回りを続ける。

自動販売機の片隅、204号室の康君が半透明の姿で泣いていた。
私はやれやれとため息を吐くと、康君を病室まで連れて行き、ベッドの上で眠っている康君の中に押し戻した。
病院では幽体離脱も珍しくはない。魂が体に戻れなくなる前に押し戻すのも看護師の仕事だ。
魂は無事体の中に戻り、康君は安らかな寝息を立て始めた。

病室を出ると私は見回りを再開する。
まったく…死後も病院で働かされるなんて思ってもみなかったわ。
神様、残業代はしっかりと貰いますからね。
ホラー
公開:19/06/09 18:20

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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