健全な世の中

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彼が会議室を出ると、1人の男児がかけ寄ってきた。
「おじさん、どうしてぼくの絵が焼き捨てられなきゃいけないんだよう。」
彼は某国風紀委員会の委員長。公序良俗を重視する政策により、風俗を乱すと判断されたものは全て委員会の審議の上99.9%排除される。
彼は男児の澄んだ瞳を覗き込んで言った。
「きみの絵にはピンクの丸い物がいっぱいあった。あれは、その、女性の特定の部位を想像させ、大衆に不快な感情を抱か…」
「お絵かき教室の先生は色づかいがきれいだねって言ってくれたよ!」
幼い男児にやましい下心がなかった事は、彼にも容易に想像がついた。しかし彼は続けた。
「あれは大衆の不埒な妄想を喚起するんだ。あれを見れば誰だって、邪念が湧くというものだ。」
「そうなんですか?」
その時、会議室から出てきた委員の1人が口を挟んだ。
「この男の発言は風紀を乱す!連れていけ!」
委員長は絞首台へ連行されていった…。
その他
公開:19/06/09 13:50
更新:19/06/09 17:32

北瓜 彪

ショートショート講座(2019年7〜9月期)にも参加
しました。
皆様宜しくお願いしますm(_ _)m

※アルファポリス
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/664452356
でも活動しています。SS講座で提出した作品「ファンフラワーに関する見聞」「大自然」もそちらで公開しております。
 

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