4
8
「去年の結婚記念日のこと、覚えてる?」
「当たり前でしょ」
記憶力のいい妻は僕が忘れていることまで細かく話してくれる。
楽しそうに。
幸せそうに。
今年もダメだった。
妻に内緒にしている僕の挑戦は、失敗に終わってしまった。
幼児の頃の記憶がない原因は、その頃は毎日が新鮮でドラマチックだから全てを記憶していたら頭がパンクするからだという説がある。それに、退屈な人生を送っている人ほど、昔の事をよく覚えているという話も聞いた事がある。だから、もし仮に去年の結婚記念日から今日までがドラマチックな毎日だったら、去年の結婚記念日の事なんて覚えているわけがない。そう思うのだ。
二人の記念日を妻が大事に思ってくれているのは嬉しい。
それでも僕の目標は妻にこう言わせる事なのだ。
「何してたっけ? 覚えてないなぁ」
そう言わせたら僕の勝利だ。
もしくは敗北だ。
「当たり前でしょ」
記憶力のいい妻は僕が忘れていることまで細かく話してくれる。
楽しそうに。
幸せそうに。
今年もダメだった。
妻に内緒にしている僕の挑戦は、失敗に終わってしまった。
幼児の頃の記憶がない原因は、その頃は毎日が新鮮でドラマチックだから全てを記憶していたら頭がパンクするからだという説がある。それに、退屈な人生を送っている人ほど、昔の事をよく覚えているという話も聞いた事がある。だから、もし仮に去年の結婚記念日から今日までがドラマチックな毎日だったら、去年の結婚記念日の事なんて覚えているわけがない。そう思うのだ。
二人の記念日を妻が大事に思ってくれているのは嬉しい。
それでも僕の目標は妻にこう言わせる事なのだ。
「何してたっけ? 覚えてないなぁ」
そう言わせたら僕の勝利だ。
もしくは敗北だ。
恋愛
公開:19/06/09 00:08
月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。
ログインするとコメントを投稿できます