226. 彼とわたしの体育祭

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高校に入って初めての体育祭。
天気は曇り。
いつもより少し手の込んだ弁当を作って持たせてくれた母ちゃんは、今日は休みを取って見に来るって言ってたけど、ハズいから何処にいるかは探さない。
午前中の競技が無事に終わり昼休憩に。俺はグラウンドの隅に置いていた荷物からおもむろに弁当を取り出す。そう、俺はイチイチ教室に戻るのが面倒なのだ。
しかし、女子って絶対たむろするもんだと思ってたけど、俺の背後五メートルくらいのところにいるあの子は一人なんだなぁ。

あの男の子、さっきからこちらを見てるけど、わたしが見えてるみたいね──。
やっとだ、気付いてくれる人が現れるなんて何年ぶりだろう。孤独じゃないお昼ご飯。嬉しいな──。

「おぃ、ユウタ一人でご飯かよ」クラスメイトの中村が声をかけてきた。

『もう一人じゃないよ……離さない』
俺と中村の間を風が吹き抜け、同時に女の子の声が二人の耳元をすり抜けた──。
ホラー
公開:19/06/10 23:00
更新:19/06/11 01:09
獏髏乃桃(ばくろのもも) ユニット

ことのは もも。( 日本 関西 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていこうと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

カントー地方在住
 

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