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僕が猫だったころ、漁村の空き家に住んでいた。漁から帰った漁師からもらった魚や、魚市場で人目を盗んで仕入れた魚ばかり食べていた。だから時々のどに魚の骨が引っかかり、それを取り除くのに苦労した。
ある時どうしても骨が抜けずに苦しんでいると、通りすがりの老人が僕を助けてくれた。
老人は僕の身体を押さえ左手で口を開けると、右手をのどに入れて骨を外してくれた。
その際、僕は老人の右手の指を噛んでしまい、そこから血が出た。
老人は怒らなかったから、僕は老人の家について行って、そのまま居ついてしまった。
でも僕は今まで通り漁師や市場から魚を手に入れた。ただ老人の分の魚を余分に準備し、老人の家に毎日持って帰った。
魚を持って帰って四日目だった。
老人が僕に言った。
「もうお前はワシの家族だ」
それ以来、僕は猫ではなくなったんだよ。
ある時どうしても骨が抜けずに苦しんでいると、通りすがりの老人が僕を助けてくれた。
老人は僕の身体を押さえ左手で口を開けると、右手をのどに入れて骨を外してくれた。
その際、僕は老人の右手の指を噛んでしまい、そこから血が出た。
老人は怒らなかったから、僕は老人の家について行って、そのまま居ついてしまった。
でも僕は今まで通り漁師や市場から魚を手に入れた。ただ老人の分の魚を余分に準備し、老人の家に毎日持って帰った。
魚を持って帰って四日目だった。
老人が僕に言った。
「もうお前はワシの家族だ」
それ以来、僕は猫ではなくなったんだよ。
その他
公開:19/06/10 21:39
「ピンクの招待状」にて 第1回izure大賞入賞
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