傘の中の秘密

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「カコちゃん、入りなよ」僕は傘を差し出した。
「ジュンくん、ありがとう。傘忘れて困ってたんだ」カコちゃんの制服が濡れている。カコちゃんとは幼馴染み。家の方向が一緒だ。
「幼稚園の時はこうして一つの傘で一緒に帰ったね。覚えてる?」
「もちろん」
僕はドキドキして帰ったあの頃を思い出した。もちろん今でもドキドキしてる。
「あと、傘に隠れてチューしたのも覚えてる?」
「へっ?チュ、チュー?」
「えー忘れたのー!ホントにぃ?」
「あっ、いや、そのー忘れたというか覚えてないというか...ごめんなさい」
僕は頭を下げた。
「うっそ、嘘だよ。キャハハハ」
「なんだよ、嘘かよ」
でも、ビックリしたなぁ。
「ジュンくんのそういうトコ好きだな」
僕は傘を持つ手をぐっと引っ張られた。傘が目の前をおおうとカコちゃんは僕の頬にキスをした。
「ありがとう。優しくしてくれて」
僕は赤くなる顔を別の傘で隠したくなった。
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公開:19/06/10 21:12

まりたま

いつか絵本を1冊出せたら...
そう思いながら書いてます。
少しだけホッコリしていただければ嬉しいです。
でも、たまにブラックも書きますけど。

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