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科学者と研究員たちが、偽札製造機を作った。
「ところで、私たちの取り分はどれくらいなのでしょうか」
研究員の一人、ジェイが科学者に聞く。
「そうだな。まず私が九。お前たちが一だ。これくらい当然だろう」
そういいながら、科学者は上機嫌で去っていった。
それを見送ると、研究員たちが誰ともなく話しはじめた。
「ひどい話だ。私たちが一だなんて」
「その通りだ。私たちの努力も知らないで」
すると、ジェイがいった。
「取り分の一で、どれくらいの稼ぎになる」
「私たち全員が一生遊んで暮らせるくらいだよ」
「それならいいじゃないか。あとの全部をあの科学者にあげても」
「それはそうだが……」
「じゃあ君は、これ以上金を持って、なにがしたいんだ」
そういうと、他の研究員たちは唸った。
「そうだね。やっぱりもっと、金がほしいのかなあ……」
誰かがそういうと、研究員たちになぜか、淋しさがこみ上げてきた。
公開:19/06/10 12:47

ふじのん

歓びは朝とともにやってくる。

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