それは

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その東京行きの列車は
10分程の遅延でホームに入ってきた。
乗り込み、対面式の席に座る。
3分程してから動き出した。
外の景色が後ろに飛んでいく。
カバンから封筒を取り出した。
中から一通の紙を開く。
始めは熱心に読んだが、
最後の方では手が震えていた。
最後の一行を読もうとした時、
列車が急停止した。
駅につくにはまだ遠い。
しばらくして車内アナウンスが流れ、
降りて駅まで歩く事になった。
列車から離れて1キロ程歩いてか、
ハッと気がついた。
手紙を車内に置いてきてしまった。
急いで反対方向に走りだし、
縦一列の流れから外れた。
全力で走ろうとした時、
後方から車掌が追いかけてきた。
すぐ振りかえるのを止めて、
走った。
追いかけられ、呼び止められても、
雨の降る線路の道を
誰にも読まれたくない手紙の事を
考え、前だけを見ていた。
その他
公開:19/06/10 12:13

小脇 進( 埼玉県 )

小脇 進と申します。
まだ小説も、ショートショートも書くのは初心者です。
※最近は詩作を中心に活動しています。

「分かってないなあコイツ」
と思っても、温かく見守っていて下さい。
よろしくお願いします。
                                                                               
2019年5月19日(日)17時55分頃より始めました。
以上です。

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