にわから雨
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庭に並んで、舞い散る卯の花を眺めている最中、急に彼が空を仰いだ。
「……あ、雨」
「え、嘘。降水確率0%だよ?」
「降った降った。顔に掛かったから」
「やだ、洗濯物、干してきちゃった……」
思わず私も空を睨んだら、彼が横向きで吹いた。
「ひっどぉ~い!ふざけないでよ!」
「はい、持って」
前が真っ白になった。
開いた傘に溜まっていた、花びらの洪水をまともに浴びる。3秒弱のホワイト・アウト。
「昼飯代。ごちそーさま」
傘の柄に両手を塞がれ、フリーズする私。
結局口実じゃない!ひっぱたいてやろうと振りかぶって。
迷って、……畳んで。一緒に玄関を上がった。
叩いた跡じゃきかないくらい、真っ赤っかの顔。
持たされた傘の柄は、本当に雨でも降ったみたいに湿っぽかった。
止まない花吹雪を振り返って、やっぱり綺麗で、少し泣いてしまった。
「……あ、雨」
「え、嘘。降水確率0%だよ?」
「降った降った。顔に掛かったから」
「やだ、洗濯物、干してきちゃった……」
思わず私も空を睨んだら、彼が横向きで吹いた。
「ひっどぉ~い!ふざけないでよ!」
「はい、持って」
前が真っ白になった。
開いた傘に溜まっていた、花びらの洪水をまともに浴びる。3秒弱のホワイト・アウト。
「昼飯代。ごちそーさま」
傘の柄に両手を塞がれ、フリーズする私。
結局口実じゃない!ひっぱたいてやろうと振りかぶって。
迷って、……畳んで。一緒に玄関を上がった。
叩いた跡じゃきかないくらい、真っ赤っかの顔。
持たされた傘の柄は、本当に雨でも降ったみたいに湿っぽかった。
止まない花吹雪を振り返って、やっぱり綺麗で、少し泣いてしまった。
青春
公開:19/06/10 00:00
水無月に雪花菜
ちょっと続きの「庭から」雨
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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