4
6
深い森の中の一番奥にある薄暗い『魔女の館』への道は、一生に一度しか開かれないという。
少女は彼を愛していた。彼を自分だけのものにしたかった。そのためならば魔女の使う魔法の力でさえ使うのを厭わなかった。
「おや、久しぶりのお客だね」
「魔女さん、私に彼の心を奪って離さない薬を下さい」
「お安い御用だ。この薬を彼に飲ませるんだよ。ただしお前の視力と引き換えだ」
「わかりました。彼がいれば他には何もいらないわ」
薬を飲んだ彼は悲しんだ。「僕はそんなことをしなくても君を愛していたのに」
彼は少女の目が見えなくなってしまったことを悲しみ、魔女のもとに、少女の視力を取り戻す薬をもらいに行った。
「お安い御用だ。ただし……」
かくて少女は視力を取り戻した。
彼は少女のことをすべて忘れてしまった。
彼のもらった薬の対価は、少女に関する記憶だったのだ。
少女は彼を愛していた。彼を自分だけのものにしたかった。そのためならば魔女の使う魔法の力でさえ使うのを厭わなかった。
「おや、久しぶりのお客だね」
「魔女さん、私に彼の心を奪って離さない薬を下さい」
「お安い御用だ。この薬を彼に飲ませるんだよ。ただしお前の視力と引き換えだ」
「わかりました。彼がいれば他には何もいらないわ」
薬を飲んだ彼は悲しんだ。「僕はそんなことをしなくても君を愛していたのに」
彼は少女の目が見えなくなってしまったことを悲しみ、魔女のもとに、少女の視力を取り戻す薬をもらいに行った。
「お安い御用だ。ただし……」
かくて少女は視力を取り戻した。
彼は少女のことをすべて忘れてしまった。
彼のもらった薬の対価は、少女に関する記憶だったのだ。
恋愛
公開:19/06/07 13:04
#魔法
#薬
みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』
ログインするとコメントを投稿できます