ＳＥＡる－③

最近まで、シールを飼うのが流行っていた。
極薄のプロジェクターが内蔵されたシールで、貼り付けた平面をスクリーンに、キャラクターを動かせるのだ。
シャツで緑のＸが生きていたり、劇場の観客がサクラシールだったり、ベッドに等身大（以下自粛）……搭載ＡＩも、世界進出を機に性能競争が激化。観賞・育成・音声対応・自立学習等々。単なるシールの域を逸脱した。

ライセンスを取得し、海産生物のシールブリーダーになった俺だが、悪質な貼付けや改造、詐欺、シールテロが横行し、ＳＥＡＬｓ（米海軍特殊部隊）の出動に発展した時点でノリを洗った。
程なく国際規制が布かれ、シールバブルが崩壊。不法投貼による視界汚染。生物シールの大量繁殖と、剥離液での駆除。遂にはシールが公害指定されるに至った。

……また後ろの壁に、黒い害虫シール。
えぇい、そこ！

しまった、本物か。
もうシールはこりごりだ。全部Ｓｅａｌ（封印）したい！