安全神話

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人民をモルモット扱いし続けたこの国に、放射線耐性を持つ俺たちが生まれた。いくら遺伝子が傷ついても修復タンパク質がほぼ完璧に機能する。稀に生じる癌細胞も免疫応答により排除された。
しかし、マイノリティに温かい国では無い。声を掛けてくるのは貧困を善とする手配師ばかり。俺たちは日雇いの作業員として廃炉に従事させられた。
「安全神話は遂に現実となりました」
拍手の鳴り止まない議会。繰り返し報道するマスメディア。情報を遮られた俺たちはカメラを付けたヘッドセットから指示を受ける。毎時1000μSvを超える現場で重機を操り、夜は飯場で雑魚寝した。
ある日、新たな作業員を従えて手配師が現れた。何かいつもと様子が違う。なにより防護服を着ていない。
「お前たち、いつまでこんなことをしているつもりだ?」
飯場がざわつく。手配師はヘッドセットを装着した。
「俺たちとあいつらのどちらか優れていると思う?」
SF
公開:19/06/08 16:21
更新:19/06/08 18:33

puzzzle( 神奈川19区 )

作文とロックンロールが好きです。
https://twitter.com/9en_T

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