一丁目公園

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公園には砂場がある。
みんなで砂山を作って、横から
トンネルを掘った。
貫通式。手を握る。
万歳をしてみんなで喜んだ。
左から掘ったのは、りくた。
右から掘ったのは、ゆめか。
万歳の掛け声をした僕は、そら。
僕らはいつも砂場でいた。
でも、ある日だった。
学校から帰って、砂場で僕が遊ぶ。
ゆめかが来て、りくたが来る。
りくたが、
「明日から塾なんだ。もう遊べないよ」
ゆめかも、
「私もママがね、これからは勉強が大事なのよって」
さっきまで砂山を作っていた手は止まり、僕らはじっとしていた。
町内のスピーカーが帰りを呼び掛けていた。
夕方。空はオレンジ色に染まり、
ひんやりとした空気になっていた。
しばらくすると、楽しそうに
公園に入ってくる三人組がいた。
僕らは立ち上がって、砂場を離れた。
そして、何も言わずに手を振りあった。
帰り道。
僕は、初めて苦しく
長く走ったような気がした。
その他
公開:19/06/05 09:54
更新:19/06/05 09:59

小脇 進( 埼玉県 )

小脇 進と申します。
まだ小説も、ショートショートも書くのは初心者です。
※最近は詩作を中心に活動しています。

「分かってないなあコイツ」
と思っても、温かく見守っていて下さい。
よろしくお願いします。
                                                                               
2019年5月19日(日)17時55分頃より始めました。
以上です。

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