太陽だって休みたい

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太陽は気が乗らなかった。

「毎朝、面倒くさいんだよね」ほんの軽い気持ちで昇るのをやめた。

人間界は大騒ぎになった。一日中夜のままなので社会は大混乱。日が当たらないので作物が育たない。

太陽は様子を楽しそうに眺めている。
「やっと有り難みを分かってくれたか。もう少し見ていよう」

その頃、世界中から技術者が集められていた。原因不明のまま昇らなくなった太陽の代わりを作るためだ。全員、眠らずに開発を続けた。

一週間後、スペアの太陽が完成した。あとは空に打ち上げるのみ。

「おいおい」慌てたのは太陽だ。ゆっくり休暇を楽しもうと思っていたが、このままでは自分が要らなくなってしまう。

「待ってくれ!」太陽は叫んだ。「悪かった。ただ休みたかっただけなんだ……」

「なるほど、こんな案はどうでしょう」

その日から、太陽は週休二日制になった。
ファンタジー
公開:19/06/05 00:21
更新:19/06/05 00:32

ろっさ( 大阪府 )

短い物書き。
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