「脈あり」

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その日、僕はアイドル級に可愛らしい女の子と知り合った。
夕暮れの河川敷をふたりで歩く。彼女が自分の腕を僕の腕に絡めてきた。
これは『脈あり』だな、と内心うかれ気味だった。
不意に彼女が立ち止まった。
「どうしたの?」
「ねぇ。『ひゃく』って100回言ってみて」
「え? ひゃ、100回も?」
「は・や・く♪」
10回ゲームの100回版ってやつか? それにしても唐突だな、と思いながら、僕はそのゲームにのった。
「ひゃく、ひゃく、ひゃく、ひゃく、ひゃく……(中略)……ひゃく、ひゃく、ひゃく、ひゃく、ひゃく!」
「じゃあ、ここは?」
そう言って彼女が指差したのは、手首の……。
「みゃ、みゃく?」
その瞬間、僕の視界は血飛沫で真っ赤に、染まった。
僕の首もとに出された彼女の手首から、鋭い刃が飛び出たのだ。


「……で、彼はどうなったの?」
「こと切れたさ。『脈あり』どころか『脈なし』だったわけだ」
ホラー
公開:19/06/04 23:59
更新:19/06/05 00:10

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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