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蒸し暑い午後の残照。ガラス越しに僕の残像。
店内の様子もよくわからないまま、僕は軒下のノボリを見るなり入った。
中は思いの外狭く、蛍光灯に照らされたショーケースのカウンターに老店主が立っていた。
ショーケースの中味は二種類。
「『今日のバニラ』と『昨日までのチョコ』がございます」
バニラかチョコ。
昨日までの、とは何なのか。新鮮なバニラアイスと、売れ残りのチョコアイス。
「そうじゃありません。今日の自分に甘いご褒美をやるもよし、昨日までのほろ苦さを思い出して、味わい尽くすのも良いでしょう」
断然バニラだ。
「若い方はバニラがお好きですね。私なんぞは、清濁併せ呑む覚悟でおりますけども」
アイスを食うのに覚悟もありゃしないが、僕は試しに提案をしてみた。
「では『明日からの』フレーバーはどうですか?薔薇色のアイスとか」
「私の趣味じゃございません」老人はきっぱりと言い放った。
店内の様子もよくわからないまま、僕は軒下のノボリを見るなり入った。
中は思いの外狭く、蛍光灯に照らされたショーケースのカウンターに老店主が立っていた。
ショーケースの中味は二種類。
「『今日のバニラ』と『昨日までのチョコ』がございます」
バニラかチョコ。
昨日までの、とは何なのか。新鮮なバニラアイスと、売れ残りのチョコアイス。
「そうじゃありません。今日の自分に甘いご褒美をやるもよし、昨日までのほろ苦さを思い出して、味わい尽くすのも良いでしょう」
断然バニラだ。
「若い方はバニラがお好きですね。私なんぞは、清濁併せ呑む覚悟でおりますけども」
アイスを食うのに覚悟もありゃしないが、僕は試しに提案をしてみた。
「では『明日からの』フレーバーはどうですか?薔薇色のアイスとか」
「私の趣味じゃございません」老人はきっぱりと言い放った。
ファンタジー
公開:19/06/04 18:37
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