初恋の味

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「ブラッディメアリー、出来る?」
ふらりと立ち寄ったバーで2杯目を頼もうとすると、バーテンは困った顔をした。
「すみません、私、ブラッディメアリーは上手く作れなくて」
「え?このジントニックなんか感動するほど美味いのに」
バーテンは困り顔のまま妙な説明をする。
「当店のお酒は名前の通りの味になってしまうんです。ジンのカクテルは得意なんですよ。皆さん、じん、と感動してくださるので。そういうわけで、ブラッディメアリーはどうしても鉄の味がしてしまって」
要はダジャレなのか?なんとも信じ難いが、血を舐めたときの金属感を想像し、一瞬身震いする。それならば面白そうな酒はないかと店内を見渡すと、棚の陰にひっそりと置かれた瓶に目が止まった。
「初恋…20年…?」
バーテンが、ああ、と瓶に手を伸ばす。
「こちらのウイスキー、お試しになりますか?少々酔いやすいので、ご注意くださいね。」
ファンタジー
公開:19/06/06 16:10
更新:19/06/06 16:16
初(うい)恋(すき) 当て字 伝わりにくい

みきやん

普段は病院で働くひと。
のんびり妄想したい。

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