ママ友劇団

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母がド派手な衣裳を着て踊っていた。母は内気でそんなタイプではない。
「なに?そのダサい衣裳」
「ママ友劇団に入ったのよ」
「ママ友劇団?」
「ご近所のママ友で作った劇団なの。今日老人ホームで初舞台だから見に来て」
「行かないから」

その老人ホームの入り口に「本日の日曜劇場『ママ友劇団』」と書かれた看板があった。
「あのぅ…見ていい?」
「どうぞお嬢さん」

ミュージカルだった。母は後ろの方だ。
「ヘタクソだなぁ」
ヘタクソなりに一生懸命だった。それでも老人たちは涙を流して喜んでいた。

久しぶりにオムライスを作ってみた。
「ただいまー」
「おつかれ。はい夕食」
「やるじゃん」
「ダンス、へただったな」
母はキッチンに立って背を向けた。
「泣いてんの?」
「玉ネギが目に沁みたの」
「玉ネギなんてないじゃん」
「ずっと、味方だからね」

この引きこもり生活から少し抜け出せそうな気がしていた。
その他
公開:19/06/06 12:55
スクー ママ友日曜劇場

豊丸晃生( 大阪 )

ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。
お笑い系のショートショートを中心に書いていきたいと思いますので、よろしくです(^^)。

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