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夕方、私と彼は河川敷に腰を下ろして、遠くにかかった虹を見ていた。
「きれいだね」
彼の言葉に、私はうなずく。
「あの虹が僕たちを結んでくれているのかな」
「きっと、違うと思う」
私はそういう。
「私たちは赤い糸で結ばれてると思うから」
「そうだね」
彼はなんだか、うれしそうだった。
それから、どれくらい経っただろう。
ふいに立ち上がろうとすると、彼は私の肩に身を預けて、小さな寝息を立てていた。
私はそのまま彼を起こさないように、ゆっくり膝枕の姿勢に変えた。
寝ている彼の顔を見ていると、私の顔も幸せになっていく。
彼が起きるまでは、このまま優しく、彼の頭を撫でていよう。
公開:19/06/06 09:19

ふじのん

大学生

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