エビ女とカニ男

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 とある世界の深海にエビような女とカニのような男がいました。

 ある日、エビ女はカニ男にこう詰め寄りました。

「ねぇねぇ、カニ男」

「どうしたんだい? エビ女」

「私との結婚って前向きに考えてくれてるの?」

「前向きには考えてるさ」

「じゃあ、どうしてずっと平行線なの?」

「わかってくれよエビ女、俺はカニ男、前向きに考えても横向きにしか歩けねぇんだよ」

「そればっかりじゃん。ふん。もうカニ男なんて知らない」

「おいおい、そんなプリプリするなよエビ女。愛してるぜ」

〝チュッ〟

「おいおい、エビ女。茹で上がったみたいに赤くなってんじゃねぇか? ハハハハ」

「うるさい!カニ男だって真っ赤っかじゃないのよ」

「俺はエビ女の事考え過ぎて年中茹で上がってんだよ」

「もう、カニ男ったら」

「まぁ、気長に行こうぜ」

 中々〝殻〟を破れない二人の恋の物語——
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公開:19/06/05 23:38
更新:19/06/08 13:38

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