さよならノーチラス号

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そうか、もうそんなに月日が経っていたのか。ここに来た経緯も忘れそうだ……。
ああ、俺の仕事は潜水艦探しだった。昔、色々な場所や時代の空気を詰めた缶が売られたりしてな。そのうち缶じゃなく艦の中の空気を売るようになった。轟天号やイエローサブマリン、古今東西あらゆる潜水艦を探し当てては、その時代特有の空気を売っていた。
そんなときさ、事故で溺れ死にそうになり、あんた達に助けられたのは。ここの空気は最高だよ、いつまでもこうしていたい気分さ。
でもなネモ船長、ここでは時間の流れが無いから実感出来ないが、科学の進歩は凄まじいらしい。例の漂流してた十五人から聞いたんだ。
なんかウズウズしてきたよ。俺も男だな、やはり仕事のやりがいは忘れられないよ。随分と世話になったがお別れだ。礼は必ずしに来る。あんたは要らないと言うだろうが、空気を売った金を持って必ず。
ああ次に売るのは、月世界に飛んだ砲弾の中の空気だ。
ファンタジー
公開:19/06/05 23:31
更新:19/07/11 23:06
ジュールヴェルヌ キャラメルボックス 98年に観た 初演を思い出して 楽曲お題シリーズ 第二弾

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