RED PERCOLATION #32

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突発的な雨が振り、一向に止む気配なし。
大勢の傘なし集団が、屋内にて立ち往生。

その妖怪は、そんな時に現れる。

雨宿りが出来る箇所にたむろする、早く雨が止むことを願う小集団。妖怪はその集団を舐めるようにゆっくりと見渡し、一人ニヤリと笑う。
そして、鞄から取り出したるは、周りの誰もが喉から手が出る程欲しい折りたたみ傘。

往生している輩に、まるで見せつけるが如く、その傘をゆっくりと開き、そして雨の中を進む妖怪。

そして妖怪は消えていく。

そして妖怪は消えていく。

そして妖怪は消えていく。
妖怪が現れたという驚きを遺しながら。
私も傘持ってくればよかったという後悔を与えながら。
どうして姿はオッサンなのに、その折り畳み傘が、冒険戦隊アドレンジャーの応募者プレゼント(先着300名限定)製品「アドレンアンブレラ」だったのか、という疑問と羨望を集めながら。

【妖怪】
その他
公開:19/06/03 00:11

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