痛い男の彼女

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中学の同窓会が始まった。皆すっかり大人になっていて久しぶりの再会を喜んでいる。
イハラ、という男子がいる。強烈に印象に残っている男子だ。イハラは自分の鏡を持ち歩き、授業中も休み時間も顔や髪を見ていた。ナルシストで、周りの男子を見下す、痛い男だった。さらに残念なのは、それだけナルシストでも、どう足掻いても見た目は中の下だった事だ。
そんな彼にクラスメイトのカヨコが愛の告白をした。結果、振られた。
「僕に似合うのは可愛い女の子だから」それが理由だった。カヨコはブスだった。
これにはクラス中の女子が怒った。
「そんなに可愛い子が好きなら誓えよ。美女と付き合うって」「ああ。同窓会が楽しみだな」イハラは悠然と笑った。
今日、イハラの隣で美女がニコニコと微笑んでいる。
「これでもハードル下げたんだぜ」
「まじか。彼女、名前は?」
「カヨコだよ」
「エッ!」
皆の驚いた顔を見て、イハラは満足気に笑った。
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公開:19/06/02 09:55
#恋愛

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

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