幽霊、のち羽根

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「秋は幽霊、春は天使、な~んだ?」
何だそれ。謎な謎々は、転校してったこいつのお得意で、アホらしいと思いながら、ムキになって当てに行ってた。
変なとこ、相変わらず変わってねぇな。なんて、字と音を踏むのが俺のお得意で、つまり結構コンビだった。
国語?英語?数学?違う。幽霊と天使、両方浮いてるなって、それはただの連想。幽霊の後、正体、化けの皮。
「ススキ」
勘。大体頭に肝を入れる奴だ。

お、正解?
「あ~あ、お前賢くなったな」
まぐれまぐれ。でも黙っとく。
「ほら、見てみ」

緑の中を、金の羽根がそよいでた。
「綺麗だろ。雪ん中じゃ目立たなくて、春の、天気の日の天使」
「それ俺の台詞」
「お前は折れんな。絶対いつか飛べるから」
ちょっと先行って振り返る。幽霊な羽根を背負って。

金の羽根の幽霊天使。
そっか、今日命日だっけ。
声の名残りも飛んだ後、遅ぇよって思ったけど、黙ったまま俺も消えた。
青春
公開:19/06/04 00:00
幽霊・枯れ尾花・羽根

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞

いつも本当にありがとうございます!

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