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 僕はパニックだった。


「君は、人を殺したんだね?」


「……」


「言わなくてもいい、見たらわかるよ」


「……」


「僕は君のことを昔からよく知っている。何か事情があったんだろ? 何となくだけど、わかる気がするよ」


「……」


「とりあえず、右手のナイフを離そうか」


「……」


 カチャン。


 べっとりと血の付いたバタフライナイフが足元に転がった。


「まず落ち着いて、ゆっくり深呼吸をしよう。僕に合わせて、さぁ」


 すぅー、はー。


 君は僕に合わせてゆっくりと深呼吸をした。


「そうそう、なんだか僕も落ちついたよ」


「……」


 落ち着くと、理解した。


 そうか、そうだった。


「ふふ」


 不意に可笑しくなり、僕は笑った。


 鏡の中の君も血まみれの顔で笑っている。


 当然だ。


 僕は君で、君は僕なのだから。
ミステリー・推理
公開:19/05/31 23:58
更新:19/06/08 13:50

恋するメンチカツ( 兵庫県 )

多くは語らぬ世の情け、見て感じ取り、考えよ!
次世代喜劇の執筆家、恋するメンチはカツの味!
恋メン劇場いざ、開演!!

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