告白

　今日はクラスのマドンナ（佐倉 咲）から放課後に校舎裏へと呼び出されている。

　人を校舎裏に呼び出す理由は大きく分けて二つある。

　気になる異性に告白をするか、あるいは、気に入らない奴に焼きを入れるか。

　僕は後者の理由だと捉えている。

　しかし、実家が金持ちの僕には厄介ごとを金で解決するという手段がある。

　ホームルームが終わると、二十万円が入った茶封筒を握り締め、校舎裏へと向かった。

　校舎裏に着くと、まだ佐倉の姿は無かった。

　気持ちを落ち着かせる為、タバコに火をつける。

　ぼんやりと揺らめく煙の先に佐倉の姿が見えた。

　タバコを地面に投げ捨て、靴裏で捻るようにして火を消す。

　佐倉は神妙な面持ちで僕に一歩ずつ近付くと、上目遣いで口を開いた。

「先生との子供できちゃったみたい」

「はい、これでいい？」

　僕は、二十万円の入った茶封筒を笑顔で手渡した。