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小指の爪の半分程の、小さい指輪を拾った。
小さいながらに金細工で、大粒の石が光る。ベビーリングかと思い、落とし主を探す事にした。
式場係に呼び出しを頼んだが、該当者が現れない。外にいるかも。指輪を預けて庭に出た。
庭に人影はなく、代わりにレースのハンカチを拾った。
今日は拾い物が多い。ハンカチを掴んでUターンし掛けた。
くん、とズボンを引かれる。指の丈程の女の子が、靴の上からハンカチを見ていた。
純白のドレス姿に、ああ、花嫁のヴェールかと気付いた。
僕もあやかりたいものだ。やや淋しい思いで返す。女の子はヴェールを被ったが、まだそわそわ頭に手をやる。
もしや、あれは冠だったか。女の子を胸ポケットに座らせ、チーフで隠して中へ戻った。
「あの、さっきの……」
再び係の人を呼び止め、気付くと女の子は消えていた。
結局、指輪は僕達のものになった。
今は妻が持っていて、もうじき娘に譲る予定だ。
小さいながらに金細工で、大粒の石が光る。ベビーリングかと思い、落とし主を探す事にした。
式場係に呼び出しを頼んだが、該当者が現れない。外にいるかも。指輪を預けて庭に出た。
庭に人影はなく、代わりにレースのハンカチを拾った。
今日は拾い物が多い。ハンカチを掴んでUターンし掛けた。
くん、とズボンを引かれる。指の丈程の女の子が、靴の上からハンカチを見ていた。
純白のドレス姿に、ああ、花嫁のヴェールかと気付いた。
僕もあやかりたいものだ。やや淋しい思いで返す。女の子はヴェールを被ったが、まだそわそわ頭に手をやる。
もしや、あれは冠だったか。女の子を胸ポケットに座らせ、チーフで隠して中へ戻った。
「あの、さっきの……」
再び係の人を呼び止め、気付くと女の子は消えていた。
結局、指輪は僕達のものになった。
今は妻が持っていて、もうじき娘に譲る予定だ。
ファンタジー
公開:19/06/02 00:00
おやゆび姫×ジューンブライド
×ベビーリング
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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