美女とナメクジ〜狂える舌の悦楽〜

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部屋の壁に数匹の蛞蝓が並んで這っている。
塩をかけようとした手が止まる。半透明な膜の奥に、字の様なのが見えたから。
これが噂に聞く"舐めクジ”か。舐めてアタリと出れば幸運が訪れるという。しかし浮かんだ字によっては不幸に見舞われるとも……。
私は舌を震わせて、その悍ましい体表を舐めてみた。だが何も浮かんでこない、ハズレか……。隣のも舐めたが結果は同じ、もしかしてただの蛞蝓を舐めたのか?
嫌悪感を覚えた時、ようやく浮かんで見えるものがあった。
"四”隣のは"ニ”と読める、予想外だ。いや、四とニ……これは"死に”ということ?
死ぬのは嫌だ!アタリを……早くアタリを舐め当てなくては!
私は無我夢中で舌を動かし続けた。だがどれもこれも、漢数字ばかりが脈絡なく浮かびあがるだけ。
私の運命はどうなるのか……。

目の前に積まれた札束を舐め回したい衝動にかられる。
そう、私は"舐め宝クジ”に当選したのだ。
ホラー
公開:19/06/01 20:50
更新:19/06/02 11:55
B級アニマルホラー 第三弾

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