一石二鳥?

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 暇だったので、前にみた映画のワンシーン『額に爪楊枝を刺す』というのをやってみようと思った。血も出ないみたいだし、ちょっとした宴会芸になるかも、なんて思った。見せる機会はないけどね。
 肝心なのは気合だっ!せーの。プスッ!?
 何かが刺さった、という感触もないまま爪が額に食い込んだ。痛い。それは額に食い込んだ爪の跡がジンジンと痛んでいるのだ。しかし、爪楊枝は?
 部屋の中を探したが無かった。そもそも、額の真ん中にそれらしい穴がポツンと開いているのだ。テレビで、額に鉄骨が貫通して無事だった男を見たことがあると思い出す。どうやら記憶は問題ない。念のため、『前頭葉の働き』をスマホで調べてみる。『損傷すると、やる気がなくなったりします』と書いてある。
 なら、何もかわらねぇや。とほっとする。それに、もう二度と「爪楊枝を額にさしてみよう」だなんて思わなくなるかもしれない。これが一石二鳥ってやつかな?
青春
公開:19/06/01 11:38

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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