おべんとう

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「…それでさ、その時のユウヤがすごかったんだよ」
真夏の日差しの下の木陰
通り抜ける風が気持ちいい部活の中休み
私の握ったおにぎりをほおばりながら
私の隣で君が話す
私はその言葉を聞いていた

むこうで誰かが彼を呼んだ
彼は話を中断し
急いでおにぎりを食べ終えると
私に ありがとな とお礼を言った
その彼の顔を見て 私はフフッと笑った
「おべんと、付けてる」
「えっ、どこ?」
そう言ってまっすぐな瞳で私を見る 君が好き
私は何もいわずに すっと口元の米粒を取ってあげた
彼は一瞬 目を見開いて じっとわたしを見つめた
そして
「ありがとな」
と言って駆けて行った
青春の味はちょっとだけしょっぱかった
その他
公開:19/05/29 19:36
更新:19/05/31 07:34

AlterLowe( 噂の集まる夏の夜 )

※このアカウントは微力ながら月の音色を応援しています。

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