五月雨

10
6

雨が降る。
「だから何だ。鬱陶しい」
と心の中で叫んだ。
朝食を食べて、家を出た。
傘は差すが、手に持っているだけで重い気分だった。
大通りに出て、車が勢いよく走り去った。
足元に何か転がってくる。
カタツムリだった。
地面を這う動きに気持ち悪くなった。
「ぶちゅ」
嫌な音。
耳障りだ。
イライラは募るばかり。
そうして石ころを蹴る。
靴底が脱げて飛んでいった。
もう学校に行くのも面倒。
このまま帰ろう。
そう思って振り返った。
「バカな奴」
そう小学生の女の子が、
つぶれたカタツムリを見て呟いていた。
そばに寄ってきたもう一匹。
振り上げられた足がストンと落ちた。
「ぶちゅ」
その潰れた痕に、女の子は
「フフフ」
と下を向いて笑っていた。
その他
公開:19/05/29 17:42

小脇 進( 埼玉県 )

小脇 進と申します。
まだ小説も、ショートショートも書くのは初心者です。
※最近は詩作を中心に活動しています。

「分かってないなあコイツ」
と思っても、温かく見守っていて下さい。
よろしくお願いします。
                                                                               
2019年5月19日(日)17時55分頃より始めました。
以上です。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容