鉛雲

7
7

低く垂れ込めた雲が、泣き出しそうな昼だった。
新型原子力空母(N-pac)の飛行甲板に滑り込んだFA28Xから、朝のフライトを終えたチームが、ご機嫌な顔でハッチを上げる。
まずいミリ飯が余計まずくなると、DPの若造が顔を顰めた。所詮てめえも同類のくせに。もっとも俺自身、糞に集る蛆虫の群れに名を連ねるわけだが。

笑いながら親指を下げる。遠足の合間に何したか一目瞭然だ。ああこれでまた、名前も知らない村が、乗ってない地図から消えた。形見代わりの記念撮影。パシャ!畜生が、暇潰しで俺の年俸フイにしやがる。
Kiss my black ass!連中が吐いた分、降って来れば面白いのに。鉄のゴミ溜めに特大花火のアフタヌーン・サービス。


――――ヒュン

強化樹脂に火花が跳ねた。
呪いって成就するんだな。俺の意識は、鉛弾の驟雨に引きちぎられた。
オートフォーカスが、明日のトップ画像をフレームに収めた。
ホラー
公開:19/05/29 00:31

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO

ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容