その罪状は

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「ちょっとアンタ! アタシのグラスに何か入れたでしょ?」
「大丈夫だよ。僕のグラスにも入っているから」
「信じらんない! サヨナラ!」

やれやれ。

「マスター、新しいの頂戴」

飽和しちゃったからね。
もう溶けない。
それに、飲んだらオカシクなっちゃうからね。
僕のも。彼女のも。

「そちらお下げしてよろしいですか?」
「はい。二つとも下げちゃってください」
「二つ?」
「ええ」

マスターは僕のグラスだけを下げた。
彼女のグラスは下げてくれない。

「同じのでよろしいですか?」
「うーん、じゃあ、さっき彼女が飲んでいたのにしてください」
「彼女?」
「それと同じので」
「それ?」
「ええ。それです」
「それ、とは?」
「それですよ……って、あれ?」

いつの間にか、彼女のグラスが消えていた。
マスター、とぼけちゃって。
それとも飲んじゃったのかな?
オカシクなっちゃったね、マスター。
ミステリー・推理
公開:19/05/28 23:19

undoodnu( カントー地方 )

構成の凝った作品が好きです。
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