酔月、盆に返らず

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暑くて眠れない夜だった。
私は睡眠を諦め、縁側で寝待ちの月見に興じることにした。お盆に瓶ビールとグラスを乗せて、縁側に座ってぼんやりと月を仰ぎ見た。
月は少し欠けた形で空にかかり、ビールに金色の光を投げかけた。泡はさながら月の欠片である。風が吹いて心地よい。一興にと盆に月の光を映してみた。盆に欠けた月の影が映る。
するとどうだろう、影が蹴鞠のように跳ねた。月は白い和紙に包まれた電燈のようだ。戯れにビールを引っ掛けてやると、くすぐったそうに飛び跳ねて庭に躍り出た。猫の額ほどの広さの庭に、月が跳ねた。木に登り、ビールを照らし、私の頭に乗りながら、楽しそうに舞い跳ねる。ビールも月色に染まり、私も気持ちが高揚してきた。しかし終わりはあっけない。月は盆にぶつかり、澄んだ音を立てて割れてしまった。中から真っ白な兎がひっくり返り、酔い潰れた。
これが、酔どれ兎を私の家に迎えいれてやった事の顛末である。
その他
公開:19/05/30 23:49

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

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